母が我が家に見知らぬ男達を連れてくるようになったのは
父がいなくなってしばらく経ってからのことだった。
再婚しようと思っていたのかそれは分からない。
もしかしたらただの肉欲だったかもしれないし、
金絡みだったのかもしれないが、
いずれにせよまだ子供だった僕には伺いしれない領域だった。
確かなことは、
男たちは続いても一人あたり精々半年ほどだったことと、
僕が母が彼らと入れ代わり立ち代わりセックスしている姿を
見せられることになったということだけだ。
男の命令は何でも聞く母は、僕とのセックスまで受け入れた
見せると言っても、最初は母も遠慮していて、
僕が気づく回数もわずかなものだったけれど、
それが時と場所を選ばなくなるまでには
大した時間はかからなかった。
元々さほど広いマンションというわけでもない。
新築の綺麗なマンションだったけれど、
それぞれの部屋は家族向けとしては手狭だ。
三人なら住めなくはないという程度で、
大した部屋数はない。
そんな構造だから、逃げ場はなかった。
かといって母がセックスしている間
家にずっといないというわけにもいかない。
いくら子供でも僕にだってやることはあるし、
第一いつやっているかがわからないのだから。
家に帰ったら、いきなり玄関でセックス中で、
目の前に母と男の結合部が飛び込んできたりするのだから、
それを避けようとしたら家にいる時間がない。
仕方がないので諦めて隣の部屋にいたけれど、
その間ずっと母の狂ったような声が聞こえていた。
それは僕には得体のしれないうめき声のようにしか聞こえず、
とても怖かった。
その恐怖が薄れたのは、僕がある程度大きくなってからのことだ。
いつのころからそうなったのか、
正確なところは覚えていないが、
気づいたら母の痴態は
僕にとってとても興味をそそるものになっていた。
襖をこっそり、わずかに開けて乱れぶりを観察するようになった。
見ていると何故か頭や下半身が熱くなり、
とても気持ち良かった。
恐怖が薄れたといっても、
見ていると不安定な気持ちにはなった。
けれど、それよりも
自分の身体が訴える
よくわからない心地よさの方が勝っていた。
そのうち、何十人目だったかわからないが、
相手の男が僕が覗いているのに気づいたことで、状況は一変した。
その男は母を連れてきた男の中でもとびきり下品な感じの男だったが、
僕が覗いていたことには何も言わなかった。
何も言わないどころか、喜んで情事の部屋に僕を招き入れた。
そうして、男と母のセックスを目前で見つめるように、
僕に命じた。そういう性癖だったんだろう。
いざ堂々と見られるとなると話が違ったらしく、
母は顔を真っ赤にしていた。
あれだけ散々僕がいることを知っていながら
セックスし続けてきておいて
恥ずかしがるというのも今更だったが。
けれど母は逆らわなかったし、
顔色を変えたのも最初だけだった。
それから僕は毎日のように、
母と男の充血した粘膜が擦れ合う様をただただ見続けた。
ただ、慣れとは恐ろしい。
そんな光景も、見続けていると刺激が薄れて、退屈になってきた。
マンネリというのはああいうものなんだろう。
もしかしたら、あの男はそれを待っていたのかもしれない。
ある日、母とのセックスを終えた後、男は僕に、
おふくろさんとセックスしたいか?
とわざとらしく聞いてきた。
いくら退屈していても、勃起はしていたし、
セックスしたいかと言われればしたい。
ただ、ここで正直にいっていいものか迷った。
言葉にしていいものかということもあったし、
目前の男に対して素直になるというのも
抵抗があった。
けれど、男はお見通しだった。
僕にはそれ以上質問せず、
まだ息を荒げたままの母に向かって、
息子がしたがってるぞ、
お前ばかりが気持ちよくなってかわいそうじゃないか、
などとこれまたわざとらしく言った。
男自身が、つい先ほど母としていたばかりじゃないか、
と僕は内心思ったが、男はそれを意に介することなく
畳みかけるように母に言った。
なあ、お前の息子、照れてて何も言えないってよ。
年上のお前が誘ってやれよ。
母が、呆けたような顔のままうなづき、
身体を動かし始めた。
四つん這いで、僕ににじり寄ってくる。
その顔には、もはや僕に対する後ろめたさは
微塵もなかった。
多分、僕のことなど目に入っていなかったと思う。
男の言うことを聞くことしか考えていなかったのか、
それとも、肉欲を満たせるなら何でもよかったのか。
どちらでも、僕の存在が意識されていなかったことには違いない。
そんなことはわかっていたとはいえ、僕は憂鬱な気分だった。
けれど、よく考えたらお互い様ではあった。
僕も、もう母にそんな感情は抱いていなかったから。
それに、その間も、僕の肉棒はいきり立ったままだったのだから。
男が、僕に小さな何かを投げてよこした。
よく見ると、ゴムだった。
いい機会だから付け方勉強しとけと、
茶化すように言った。
その日、僕は母とセックスした。
男が直前に挿入してかき回したばかりの、
べとべとの胎内が、
僕のはじめて経験する女性器だった。
すでに男に何度もイかされたあとだったせいだろうか、
母は、初体験で下手くそな僕相手でも
簡単に絶頂に達した。わずかな間に、何度も何度も達した。
その様子を、男はやんややんやと喝さいし、
息子のち●ぽでよがる気分はどうだ?
などと母をけなすようにニヤニヤしながら言う。
母は呂律の回らない声で何か答えていたが、
何を言っているかわからなかった。
僕はその間、
男の存在など考える余裕もなく、
ただ腰を振り続けた。
何度も睾丸から精子が、
飽きることなく外へと送り出された。
僕がとうとう射精できなくなると、
男は強引に割り込んできた。
そして、また勃ったから最後に仕上げをしてやるよ、
といって、母を激しく突いた。
しまいに母がなかば白目を剥き、よだれを垂らしながら
床の上に小便をまき散らすのを、
僕はアンモニア臭を嗅ぎながら
ぼんやりとみていた。
それからまたしばらく、
僕は男のおこぼれに頂戴する日々をすごした。
その後すぐに母はまたその男と別れてしまった。
母とのセックスはそれ限りになった。