恋人のような関係の異性。何とも甘酸っぱい響きだけれど、僕と妹にもそれが当てはまる。
昔からどこにいくにもあとにくっついてくる奴だったけれど、セックスするようになってからはなおさらだ。たまに恐ろしいほど仲のいいカップルがいるが、妹の僕への態度はまさにそのもので、本当に恋人のような気持ちになる。とはいえ、大っぴらに言えない関係なのが分からないほど、僕も妹も常識がないわけじゃない。だから、苦労するのだ。
近親相姦も楽じゃない…苦肉の策は公園の臭すぎる便所
今思えば、就職したときに一念発起して実家を出ればよかったのだ。そうすれば、それこそアパートの部屋で、好きなだけお互いの身体を貪れたはずだ。
けれど、僕はそこまでの決心がつかなかった。猛烈な安月給だったのだ。親も、今後何があるかわからないから、金はできるだけ使わず溜めておけといった。見ようによっては過保護だったが、自分の給与明細を見ればもっともな話だった。最低レベルのアパートの部屋を借りても、ギリギリやっていけるかどうかという額なのだから、万が一会社に何かあったら終わる。
結果、僕と妹は、それまで通り、実家で親の言ないわずかな時間を狙って大急ぎでセックスするしかなかった。ただ、いつまでたってもそんな調子だと、徐々に欲求不満がたまってくる。しかも、どんなに身体を重ねたところで、この先世間に顔向けできる関係になれることはありえないのだ。そう思うと、なんとも嫌な気持ちになった。
それは妹も同じだったようだ。焦燥感が募るなか、僕らは話し合い、結局せめてセックスだけは好きなだけしよう、ということになった。とはいえ、先にも言った通り、安月給だ。妹もまだ大学生。お互い経済力がないから、いつもいつもラブホというわけには行かない。
結局、僕らがたどり着いたのが、家から5キロほど離れた、寂しい公園だった。かつては子供であふれていたというこの町も、今ではすっかり斜陽で、ろくに使われることもない公園はそこら中にゴロゴロあった。ひどい所だと管理をなかば放棄した状態になっているところさえあり、そういうところは草ぼうぼうになっている有様だった。
僕らが目を付けた公園は、そこまではないものの、子供たちの姿がまるで見えないことには変わりなかった。その割に意外と設備は整っている。公衆トイレも、そこそこの状態で保たれていた。つまり、僕らにとってはおあつらえ向けだったのだ。
「あふう…んっ」
個室でしばらくディープキスをしていたあと口を離すと、お互いの口から濃い唾液が糸を引いて口の周りにこびりついた。妹の唇が濡れ、光る。それを見ながら、僕は矢継ぎ早にスラックスのベルトを外した。
確かにおあつらえ向けの場所ではあったけれど、ラブホテルのように寝っ転がってくつろぐということは当然できない。大体、くさい。それも、猛烈にだ。こんなことでもなければ、できれば来たくさえないくらいだ。ただ、ひたすらセックスするという使い道だけを考えたら、悪くない選択肢だった。妹も、それはわきまえている。
「ふう、わざわざこんなの履いてきた甲斐もあるってもんよね」
妹はそういって、彼女にしては珍しい、極端に短いスカートをめくる。妹は普段は露出を極度に嫌うたちで、ロングスカートが主なのだけれど、このときだけは動きの邪魔にならないようミニスカートを履いてくるのだ。もっとも、公園までの道のりは人目もあるから、本人は太ももを人前にさらすのがかなり苦痛のようだったが。
「悪いな、無理させて」
「いいよ。でも、そのうちもっとゆっくりできるようにしたいね」
「そうだな」
そのためには僕の給料が上がるくらいしか可能性はないんだが。敢えて考えないようにして、僕は目の前の、妹の股間に集中する。これまた、普段の妹ならまず履かないTバック。それも、相当えげつない形をしている。Tバックというか、ほとんど紐に近い。ただ、挿入に手間がかからないのはいい。僕は手早くゴムをつけると、抱き着くように妹の身体を支えながら、紐パンをずらす。そして、腰の位置を調整した。先端がクリトリスをかすめ、妹が小さな声を上げる。いつもながら、この瞬間が最高だ。
そのまま、僕は腰をぐっと踏ん張って、妹の体内に入っていく。
「あ…」
甘えるような妹の声が悪臭漂う公衆便所に響く。僕がぐいぐいと腰を動かすごとに、その声の調子が乱れていく。本当は後ろからの方が遥かにやりやすいし、突きやすい。けれど、妹がこの体勢を気に入っているのだ。無理をさせてる身としては、せめてそれくらいは要望に応えてやりたい。それに、きついなりの恩恵は僕も受けている。妹の表情がくしゃくしゃになっていくのが、眼前で直接確かめられるからだ。
「あー…ん…く…お、お兄ちゃんの…ち●ぽ…」
目を潤ませ、妹がうわごとのように恥ずかしい言葉を吐き出す。ほとんど無意識に口から飛び出すらしいが、僕としてはそんな妹の姿は大歓迎だ。
「くっ…くおっ…」
今や粘りに粘った妹の粘膜が、上下する僕の肉茎全体をしごきあげる。負けじと、僕は身体が許す限り激しく動く。だから、1回あたりはあっという間だ。
「あ、お、お兄ちゃん、あたしっ…イきそっ…イく、…イくぅぅぅっ!」
妹が叫ぶのに合わせ、僕ははれ上がった突起を、可能な限り深く押し込む。妹ももうわかったもので、体重が絶妙なタイミングでかかって僕の侵入を助ける。そのすべてが一瞬で行われる。一番奥まで達したところで、妹の声は大体途切れるのだ。
「………………」
しばらく、僕のを中に収めたまま、妹は放心する。僕としては姿勢を保つのがきついが、これくらいは耐えなければ兄としての立場に関わる。
やがて我に返った妹は、はあはあと息をつきながらも、さっきよりも幾分色味をました肌で、白い歯を見せてわらう。そして、やはり甘えるように言う。
「…もう一回」
当分は公衆便所での性交に甘んじるしかない。けれど、妹には申し訳ないと思いながら、実は僕自身はそれほど不満は感じていない。どうせ、道ならぬ恋だ。そんな中で金もかからず何度も何度もできる環境がある。それだけでも、十分恵まれていると思うからだ。
それがたとえこの、どうしようもなく臭い便所だろうと。