それこそ幼稚園児の頃からになるが、俺はひそかに母親を自慢にしていた。
俺を産んだのが早かったせいもあって、同級生のお母さんたちとくらべ、うちの母親は極端に若かった。
その上、童顔で小柄だったために、実年齢よりもはるかに若く見えた。
俺が小学校に上がった時点でも、参観日に高校生と勘違いした先生がいたくらいだ。
近親相姦さえ抵抗なく受け入れた俺の母親
普通は浮いてしまうのかもしれないが、温厚で愛想もいい母親は友人のお母さんたちとの仲もよかった。
だから、同級生たちとしてはむしろかわいいお姉さんといった印象だったようで、ませた奴なんかはハッキリと「おい、お前の母さん、どんな下着着てるんだ」などとまぜっかえしてきたりもしたものだ。
そういう周囲の反応は俺には恥ずかしかったけれど、一方で誇らしくもあった。
父親と母親の関係もそのころはよかったから、幼少時の俺の家庭は、子供から見ても非の打ちどころがなかったといえる。
ただ、それはそんなに長く続かなかったのだ。
多少間はあったものの、ほどなく我が両親は離婚した。性格の不一致、という奴だ。
それでも、子供の前で罵声の浴びせ合いなんて事態にはならなかったのはさすがだと思うけれど。
そして、期を同じくして、母親は俺にとって、ただ誇らしいだけでは済まない存在ではなくなっていった。
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俺が既にそれなりには大きくなっていたのが幸いして、母親は働きに出るようになった。
まだ世の中のことなんて何もわかっていなかった俺も、最低限、金を稼がないと食っていけないということだけは理解していたから、母親には感謝するしかなかった。
なんとか助けになりたいとも思ったが、俺にできることなんて当時は限られていた。
仕方がないので、とりあえず家事だけはやることにした。
「憲一がそう言ってくれるならすごくありがたいけど…ふふ、まるで専業主夫みたいだね」
俺がそう言いだしたとき、母親はそういって笑ったものだ。
その言葉が、俺は少し照れ臭くて、つい赤面してしまった。
主夫、と言われたのが、俺をなんとも言えない気分にさせた。
まるで母親と自分が夫婦になったかのような錯覚を覚えてしまったのだ。
その錯覚を嬉しく思ってしまうくらいには、うちの母親はまだ若かった。
もちろん、いくら若いとはいえ、俺と比べれば年齢差は大きい。
だが、そうはいってもその頃でまだ30代前半だ。
童顔なのも変わっていなかったし、働きに出るようになった彼女はむしろそれまで以上に服装が若々しくなり、所帯じみた感じはまったくなくなっていた。
二十代前半といっても普通に通じるくらいだったから、俺から見たって女性として十分魅力的だった。
だが、そこまでだったら、そこまで珍しい話でもないと思う。
問題は、この時点で俺にとって母親が性欲を催す対象になっていたことだ。
これについては俺の性癖がおかしかったというしかない。
普通は、いくら若くたって母親に対してそんな感情は抱かないだろう。
もちろん、それが非常識な感情だということはわかっていたから、俺はそうした思いを飲み込んで生きていくつもりだった。
そして、俺は本来、それでも十分やっていけたはずなのだ。
俺の場合、可愛いという女の子たちは同級生にもいっぱいいたから、母親だけに執着していたわけでもない。
周囲との違いは、母親が普通以上に若くて可愛らしいという、それだけだ。
そのうち彼女が出来て性欲が満たせれば、こんな思いは消えていくだろう。
そうなれば、きっと母親も喜んでくれる。そう思っていた。
それなのに、俺と母親はあっさりと一線を踏み越えてしまった。
何が悪かったのか。
考えられることはいくらでもあるけれど、結局のところ、俺と母親は二人して歪だったのだろう。
思い返してみれば、母親は確かに子育てに関しては模範的な人だったけれど、性に関してだけはかなり開放的だった。
性教育だって、学校で教わるはるか前に、自分から教えてくれた。それも、相当きわどい説明で。
その説明は幼心にも鮮烈で、いまでも一字一句思い出すことができる。
「憲一にはおち●ちんがついてるでしょ。女の子にはね、おち●ちんはついていないの。昔、お風呂でお母さんのもみたことあるでしょ」
「うん、ついてなかった。でも、おしっことかどうするわけ?」
「ふふ。女の子にはおち●ちんとは別にね、おしっこするための穴があるの。それにね、おしっこする穴以外にも、女の子には穴が開いてるのよ」
「そうなの?なんか…想像できないな」
「そうだよね。でも、そのうちわかるわよ。そのもう一つの穴を、おま●こっていうの」
「おま●こ?」
「そう。その穴はね、赤ちゃんを産むための穴なの」
「赤ちゃん?」
「そう。それでね。赤ちゃんを作るためには、セックスっていうのをしないといけないの」
「セックス?何それ…」
「男の子のおち●ちんを、おま●こに入れるのよ」
「え、何それ!?汚くないの?」
「汚くないのよ。人間だったら、誰でも普通にすることなの」
「えーっ…」
「まあ、びっくりするよね。でも、そういうものなのよ。本能だからね。あなただって、そのうち自然にそうしたくなるはずだから」
「俺が…?したくなる…?」
「今はそういうものだって思ってればいいわよ。それで、ここからが大事なんだけど、赤ちゃんがもし今できたらあなた、自分で育てられる?」
「無理だよ、そんなの…」
「でしょ。赤ちゃんがまだできたら困るっていう時はあるものなの。だから避妊っていうのが必要なのよ…」
長くなるのでこのくらいにするが、いかに露骨だったかはわかってもらえたと思う。
俺はまだ勃起も体験したことがないくらいだったけれど、それを聞きながらどうにもむずむずするものを感じていた。
ただ、今考えると、母親も内心ではムズムズするものを抱えていたのではないかと思うのだ。
その性への抵抗のなさが、敢えて言ってしまえば俺と母親がそういう関係になった唯一の理由だと思う。
親子の血は争えない。
そういうことだったのかもしれない。
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その日、俺は家事をひととおり済ませた後、自室にこもった。
自室と言っても、なにせ母子家庭だ。
父親から養育費などは貰っていたようだけれど、それでもお金に余裕があるほどじゃない。
だから当然安アパートで、俺の部屋もふすまで仕切っただけの簡素なものだった。
音なんかは丸聞こえだ。
だから、俺が性欲を解消できる時間は、母親が帰ってくるまでもわずかな時間に限られていた。
さすがに、母親に自慰を見せつける趣味はない。
母親が玄関を開けて帰ってくるまでの、わずかな時間が俺の日課をこなすための秘密の時間だった。
ただ、その日に限って、母親の行動パターンは普段と違っていたのだ。
その日、俺がオナニーのネタに選んだのは、やはり母親だった。
その頃には、俺の母親への性欲はかなり重症化していて、着替えでも見てしまおうものならかなりまずいことになっていた。
ブラウスの前ボタンを外した姿。
母はスリップが好きなようで、いつも色とりどりのスリップを着ていたが、それがブラウスの隙間から目に入るたび俺はたまらない気持ちになった。
まして、スカートまで脱いでいる状態を目にした日には、大変なものだった。
前日がまさにそれで、だからその日、その状態の母親を想像してしごいていたのだ。
スカートの後ろのホックが外れ、ジッパーがおろされ、ぱさりと畳の上に落ちる。
ブラウスのボタンがひとつひとつ、丁寧に外されていき、中の光沢のあるスリップの模様が見えてくる。
前日目にしたのは白だったから、それを想像した。
そうこうするうち、しごき始めてから3分もしないうちに、俺はすっかり自分の想像の中の母親に没入していた。
ただ、この日は普段以上に没入してしまった。
ただ脱いでいくだけの想像では終わらず、俺の想像が自分でもびっくりするほどに広がっていったのだ。
具体的には、その姿になった母親が、俺ににじり寄ってくる姿。
その、現実味のまるでない妄想に、俺は思いがけずハマりこんでしまったのだ。
だから、玄関ではなく、窓越しに急ぎ足の足音が近づいてくるのを、察知できなかった。
いきなり、俺の部屋のすりガラスの窓ががらりと開いた。
「憲一ごめん!ちょっと取ってほしいんだけど…」
よほど急いでいたのだろう。
うちのアパートは入り口が極端に奥まっていて、大回りしないといけない。
逆に、窓は通りに直接面した構造になっていた。
もちろん窓から出入りするようなことはない。
けれど、うちの部屋は1階だったし、単に声をかけるだけなら窓からの方が早いのだ。
普段はそんなことはしないのだけれど、この日はそれどころではなかったんだろう。
その結果として、俺は不本意にも、自分のオナニーを母親に見せつけることになった。
部屋のど真ん中でしていたのだから、隠しようがなかった。
まん丸になった、母親の目。
やってしまった、という後悔が噴き出してきた。一生ものの恥だ。
ただ、その一方で。
手を止めているにも関わらず、自分の股間に余計に血がたぎりはじめたのが感じられた。
なぜか胸がどきどきと高鳴るのを、どうすることもできなかった。
「ご、ごめんなさい!」
慌てたように言って、すりガラスの窓がぴしゃりと締まった。
外の景色が見えなくなったけれど、窓越しに声が聞こえてくる。
「…ちょっとわたしの机の上にある書類、取ってくれない?一枚だけ置いてるから、すぐわかると思う」
「う、うん…」
頭が混乱していたが、母親がいかに急いでいるかは分かった。
フルチンのまま立ち上がるも、勃起はまったく収まらない。
仕方がないので、そのまま母親の部屋に向かった。
言われた通り、書類が一枚だけ、机の真ん中に置いてあった。
それを取って踵を返し、窓を少しだけ開けて隙間から差し出す。
「…ありがと、ちょっと今日は一度戻るから、すこし遅くなるね」
「あ、ああ」
「2、3時間くらいだと思うから。せっかく作ってもらって悪いけど、ご飯、先に食べてて」
それだけ言って、母親の足音は遠ざかっていった。
ほとんど走り去るような感じだった。
よほど大事な書類なのだろう。そりゃ窓からくるよなあ。
そう自分の頭に言い聞かせたけれど、やはり鼓動は早くなったまま、少しも収まってくれなかった。
ただ、その一方で後悔と動揺がどっと押し寄せてきて、股間が膨らんだままなのにも関わらず、オナニーを続ける気持ちはすっかり失せていた。
それどころか、食事をする気持ちにさえなれなかったのだ。
やってしまったと思いながら、俺は毛布に顔をうずめた。
母親が再び帰ってきたのは、彼女の言葉通り3時間ほどたったころだった。
「…た、ただいま」
「…お、お帰り…」
なんとも気まずかったが、部屋で突っ伏したままなのもかえって変かとおもって、俺はわざわざ玄関まで出迎えた。
とはいえ、これはかえって逆効果だった。
母親は靴も脱がないまま玄関に立ち尽くしてしまったし、俺は俺で続く言葉が出てこない。
みれば、母親はすこし顔を赤らめていた。
それが余計に若さを際立たせていて、俺は不覚にもかわいいと思ってしまった。
普段以上に若く見えたその時の彼女は、大げさに言えばそれこそ女子校生並みと言っても違和感がないくらいだったのだ。
「…さ、さっきはごめんね」
「い、いや、こちらこそ…」
やはり、いうべき言葉が思いつかない。
多分、母親も言葉に詰まったのだろう。
無理矢理にひねりだされた言葉は、母子の会話として、普通ありえないものだった。
「あはは…で、でも…あなたもしっかりオナニーする歳になったんだね」
「あ、ああ…」
「びっくりしちゃったけど、立派になっちゃって…お父さん以上じゃない」
「は…はあ…」
内心、なんだこの会話は、とは思っていたが、一方で俺は、この内容の会話を母親としているということ、それ自体に興奮し始めていた。
母親はもう真っ赤になりながらも、言葉を続ける。
多分、彼女も必死だったんだろう。
「…む、昔教えたこと、忘れてないよね?」
「あ、ああ…あれだろ、避妊のこと」
「そ、そう。あんなおち●ちんだったら、女の子も夢中になっちゃいそうだからさ、ちゃんと憲一が避妊してあげなさいよ」
「…!…そ、そんな相手、まだいないって…」
「そ、そうなの?もったいないなあ」
相変わらず、露骨だった。
こういう所を除けば、本当に、表彰されてもおかしくないくらい模範的な人なんだけどなあ。
そう思いながらも、彼女の言葉はえぐりこむように、俺の興奮を盛り立てた。
この段階で勃起していなかったのが、今考えても不思議なくらいだ。
もっとも、それはあとになってみれば、何の意味もなかったのだけれど。
「あ、そういえば、ご飯はもう食べたよね」
「いや…ちょっと取り込んでて…」
「そ、そうなの?ごめんね、じゃあ、すぐ着替えちゃうから!」
慌てたように、母親は靴を脱ぎ、俺の脇をすり抜けていく。
すれ違いざま、朝よりも薄れた香水の香りとともに、彼女自身のいい香りが鼻をついた。
自宅にいる時、なぜか漂ってくる、たまらなくそそる香りだ。
それが何なのか俺はわからないのだけれど、あれがフェロモンというものなのかもしれない。
もっとも、そうだとしても母親のフェロモンに普通は興奮はしないと頭ではわかっていたけれど。
残り香を俺の鼻の奥に残したまま、彼女は自分の部屋に飛び込んだ。
小脇に抱えていたカバンを放り出す。
そして、部屋の入口に俺が突っ立っているにも関わらず、いきなり自分の服に手をかけた。
着替えをたまたま見かけてしまうことは何度となくあったけれど、あくまでたまたま着替えをしているところを通りかかったとか、そういう流れだ。
最初からみられているというのにいきなり着替えだすことは、これまでさすがになかった。
それだけ母親も内心動転していたのだろう。
バサバサと服を脱ぎながら、しゃべり続ける。
「そ、そういえば、あの後無事したの?」
「い、いや…何となくする気なくなっちゃって…」
「そ、そう…そりゃそうよね、びっくりしちゃっただろうし…」
「そ、そういうわけじゃ…」
「ごめん、でも…びっくりしちゃったわよ。あんまり大きいし…女の子泣かせにだけはならないでよ、本当に…」
「ならないよ…」
「そ、そうよね…でも、女の子の方がドキドキしちゃうかもしれないから…」
普段よりも、明らかに早口だ。
もう、頭に浮かんだことをそのまま口に出しているとしか思えない。
だが、この時動転していたのは、俺も同じだったのだ。
俺は普段とは違って、魅入られたように、正面を向いたまま突っ立って、母が服を脱ぎ捨てていくのを見つめていた。
白いブラウスから細い、色白の腕が抜かれ、床に放り投げられる。
ヒラヒラと床にブラウスが横たわったときには、母の上半身が露わになっていた。
肩に2本ずつかけられた、ブラジャーとスリップの紐。
スリップの紐の方は、撫で肩からすこしずり落ちかけていた。
エメラルドグリーンというのだろうか。
そんな感じの色合いのスリップが、ほっそりした母親の上半身を彩っていた。
前面に、胸の下まで花柄のレースが施されたスリップは見るからに豪華で、この安アパートにはいかにも不釣り合いに見えた。
後で聞いたが、下着は当時の母親の唯一の贅沢だったらしい。
安っぽい蛍光灯の明かりに、それがキラキラと光って、母の女性的な身体をより際立たせていた。
それを真正面から見せつけられたのだ。
まるで、先ほどまでの妄想がそのまま眼前で再現されているかのようだった。
ただでさえ動転していたところに、これだ。
おそらく、俺はもうこの段階で分別を失っていたのだろう。
母親の方を向いたまま、俺は無意識のうちに股間を思い切り膨らませていた。
一応ズボンは吐きなおしてはいたが、完全に勃起していたから一瞥しただけでもわかっただろう。
俺のち●ぽが母の言う通りそんなに大きいのならば。
けれど、隠そうという考えさえ、頭から消え失せていた。
「す、すぐ着替えちゃうから、もうちょっと待っ…」
やはり焦った口調のまま、母親は棒立ちになっている俺の方を振り向いて、そして固まった。
それはそうだろう。自分の着替え姿を見ながら、息子が股間を勃起させているのだから。
「…」
「…」
数秒間くらいだったとは思うけれど、無言の間があった。時間が止まってしまったかのようだったし、その間俺は何も考えられなかった。ただ…その時丸く目を見開いた母親を見て、俺はぼんやりと、ああ、こんな可愛らしいんだ…と、普通母親に対して感じるはずもない感情で満たされていた。